表現のヒント
たまたま見たNHKのドキュメンタリー。
被災地 再起への記録
http://www.nhk.or.jp/special/pdf/nhk_hisaiti.pdf
「孤立集落 どっこい生きる 宮城歌津半島」を、泣きながら見たのだけど、つきつけられた事実の力にただただ圧倒されました。
震災を境に、わたしたちの心理は大きく変わったんじゃないかと思っています。それに合う表現、情報の出し方が求められるようになると、直感しています。
求められる、というよりは、その必要性がある、って感じかな。
お茶の間の「見ている人」を想定して、お涙ちょうだいチックな演出をする…というのは、昔からの手法でやりがちだし、簡単なんだけど、表現者としては二流。
ありきたりなお約束の表現じゃない表現を追求するのが一流であり、プロの表現者の仕事だろうと思っています。
で、くだんのドキュメンタリーは、3月中旬震災直後に孤立化した馬場集落にたどり着いたNHK取材班が現地密着で追った、復興の日々です。
過度な演出はほとんどなくて、ただただ淡々と出来事を追うだけだし、ナレーションも邪魔にならない程度。
うるさい音楽も入らないから、逆にリアルが迫ってきました。
行政なんかあてにしないと言い切る区長さん。自身も身うちを何人も亡くしながら、村民のために自主避難所の運営にあたる姿には迫力があります。
がれきからまだ使えそうな調味料や米を拾ってくる女たち。小屋を建てるための木材を運ぶ男たち。
行政を待っていたら仮設住宅がいつになるかわからないと、自分たちで高台の土地に仮設住宅を建てようと計画を立てる住民のみなさん。
「水道が持ってこれない」と許可を渋る行政と、
一方で道路建設のためにボランティアで現地の測量にやってきた、福井県の測量技師の対比は、かなり痛快でした。
「これを求めています」とSOSを発信すれば、ものが届き、
がれきで道路が寸断していても、食料と燃料を運んできてくれる人がいました。
馬場中山地区のホームページ
http://c.fc2.com/m.php?_mfc2u=http%3A%2F%2Fbabanakayama.client.jp
区長さんは、そんなボランティアの人たちの支援を見て、この力がきっと自分たちを支えてくれると確信を持つことができたんじゃないかと思います。
それと、「何がなんでも、この地域を守る」という強い責任感。それが住民に伝わって、「ここに残りたい」「ここを残したい」「ここで暮らしたい」という思いになっているのでしょう。
誇り高き、馬場中山地区の人たち。
連日「カネで解決」的な補償の話しかできていない国の議論と比べると、
行政まかせに見切りをつけて、自力でがんばろうとしている住民と、
それを応援しようとしている各地のボランティアの交流が、やっぱり際立ちます。
瓦礫のはらになっているんだけど、静かな時の海は本当に美しいなと、映像を見ながら思いました。
そんな海の恵みを受けて、やっぱりここで、みんなと暮らしたいという普通の当たり前の思い。
そんな思いを叶えるために、道をつくるための舗装用の砂利が届き、温泉が届き、プレハブ用の建材が届き、専門家がボランティアにやってくる。
く~~、かっこいい~。
やってもらうのを待ってるのでも、文句言うのでもなく、自力でやってく。
「人ってすげえな」と、思いました。
「表現」もまた、「伝える」だけでも、行政批判だけでもダメの段階にきた気がしています。
ネットが登場した段階で、さまざまな発信先からのさまざまなレベルの情報が行き来する時代がきたわけで、それをいかに駆使するかを試されているように思います。
有名人が「がんばろう」とか「つながろう」とか、マスメディアで言ってるけど、さすがに2カ月近くになってくると「で?」って思うし、マスコミの役割は多分そういうことじゃないんだろうと思います。
そういう意味でも、今朝見たNHKの番組は、ヒントをくれた気がしました。
ムリムリの起承転結とか、ありきたりの結論とかドラマはいらなくて、リアルに近づけながら、いまだ表現できずにいたものを表現していく。
「お約束」のお話とストーリーではなく、人間の多様さ、違いや、細かさとそのなかで人と人が出会い、語らうことの良さ、救いのようなものが表現できたらいいなーと。
それは、「わかりやすく」もなく、「歯切れも悪い」かもしれないけれど、そういうのもいいんじゃないかな?と、思うようになりました。
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コメント
ご無沙汰しています。
今、丁度その番組について主任と話をしていました。
失意のどん底で、先行きが見えない状態の中、あのように立ち上がっていた人たちが実際にいたこと。
出勤前に、ちょっとのんびりする時間が延びてしまいましたが、観ることが出来て良かったです!
これが、まさに「底力」!
あの地域が一つの国に見えました。
それぞれが出来ることを、当たり前のようにやる。
ボランティアに頼るだけでなく
自分たちも、自治のために動く。
あの棟上げのみなさんの歓声とあふれんばかりの笑顔。観ていた私はボロボロ
でも、玄関を出るときは「よ~っし!」と
あの映像に背中を押されて、出てきました。
余談
投稿: メリゴ・佐々木 | 2011年5月 2日 (月) 13:40
水道が引けないなら井戸堀を手伝いに行きたい。電気がこないなら太陽パネル作りに参加したい。私の労働力を使って欲しい。1ヵ月ぐらいなら仕事を休める。
投稿: takesi | 2011年5月 2日 (月) 19:09
メリゴ・佐々木さん
書き込み、ありがとうございます。
能代の桜はさぞきれいなことだと思います。
「何気ない日常」を繰り返すことの大切さと難しさを感じています。
だから、毎日ちゃんと保育園や広場を開く佐々木さんはえらい。無理しないでくださいね。
主任さんにもよろしくお伝えください。
投稿: sereno | 2011年5月 5日 (木) 13:18
takesiさん
書き込みありがとうございます。
お仕事を休んでボランティアしたいというお気持ち、すばらしいと思います。
厚生労働省のボランティア支援サイト
http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/volunteer_tohokutaiheiyo.html
です。参考にしてください。でも、無理しないでくださいね~~。
投稿: sereno | 2011年5月 5日 (木) 13:28